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2011年5月31日

アピール

原発に依存しない新しい日本の創造に向けて




 いま、日本は、かつて経験したことのない危機のただ中にあり、大きな試練に立たされています。

 2011年3月11日、東日本を襲った大震災により、東京電力福島第1原子力発電所の1~4号機は、冷却機能を失い、膨大な放射性物資を環境に放出しています。これにより、退去や避難を余儀なくされた人たち、農業や漁業、畜産業ができなくなった人たち、外で遊べない子どもたちを始め、広範囲にわたる周辺住民の被害は計り知れないものがあります。

そして、今なお放出が止まない放射性物質は次第に日本全土を汚染し、世界的な汚染へと広がりつつあります。

また、4基の原子炉は、いまだ危険な状態を脱しておらず、今後、いずれかの原子炉で、爆発などによる圧力容器や格納容器のさらなる損傷が起これば、日本全土が原爆を超える高濃度放射能に覆われる「最悪の事態」に至る危険性もあります。

 これまで、国民の多くは、原子力発電所(以下原発という)の持つ本質的な危険性や地震国日本に54基もの原子炉があることについて十分考えることなく、「原発は何が起きても安全」「安くてクリーンなエネルギ―」等の宣伝に乗せられ、国の推進する原子力エネルギー政策に特段の抵抗をすることなく、電気を贅沢に使った生活をしてきました。

 しかしながら、今回の重大な原発事故に遭遇した国民は、これまでの考え方や姿勢に根本的な反省を加え、この問題に正面から向き合うことを迫られています。

 第一に、今回の事故で明らかなように、原発事故の被害は極めて甚大です。

被害の並外れた甚大さにもかかわらず、原発は命がけで被曝を覚悟しない限り、事故の収束のために人が近寄ることさえできません。

いかに科学技術が進んでも、人間の作る機器は毀れる可能性がありますが、その修理が命がけになるというのは、あまりにも異常です。

本来、そのような機器は作ったり使ったりしてはいけないものと言わねばなりません。

「閉められない扉は開けてはいけない」という諺がありますが、原発は本質的に人間と共存できないものだと考えます。

 第二に、原発を運転すると、高レベル放射性廃棄物が大量につくられますが、その管理は数万年も続けなければならないにも関わらず、現実的な処理技術は未解決のままです。

原子力エネルギーの利用は、この高レベル放射性廃棄物処理の危険と費用を将来の世代に負わせることになります。

 第三に、原発は、正常運転時においても、維持管理の過程に、働く者の被曝の問題があります。点検、補修、部品交換などをする作業員の被曝は常態化しており、炉の清掃・洗浄など高濃度の被曝を前提とした作業もあるようです。

私たちは、それによって電気を得てきましたが、「他人の命を削らせて享受する便利さとは一体何か」を問い直す必要があります。

 このように、原発は人類にとって本質的に危険なものでありますが、一方には「電気がなくなったらどうする」「原発がなくなると日本経済が壊滅する」という意見があります。

しかし、世界の電力では、自然を利用した発電が原発を上回っており、多くのデータがさまざまな自然エネルギーの可能性を示しています。

日本の電力供給のしくみの改善も指摘されています。

「オール電化」の掛け声に乗せられて、電気を浪費してきた国民生活の反省も必要です。

 菅首相は、5月6日、中部電力に対し浜岡原発の停止を要請し、続いて、原発に傾斜する従来のエネルギー基本計画を白紙に戻し、再生可能なエネルギーを基幹エネルギーに加えることを表明し、省エネルギー社会をつくることを呼びかけました。

 私たちは、この一連の決断を支持するとともに、この方向をさらに進め、放射能の危険のない新しい国づくりを強く押し進めるよう、次のとおり提言し、呼びかけます。




1.新しい原発は作らせないこと。

2.停止中の原発は再稼働させないこと。

3.稼働中の原発は、安全対策を強化し、電力需給のバランスを考慮しながら、危険性の高いものから順次停止させていくこと。

4.原発の安全対策の強化、安全性の審査には、原発に否定的な学者や専門家も含め、原発をめぐるすべての利害関係から独立させて行うこと。

5.国をあげて再生可能エネルギーの開発に取り組み、他方、電力供給体制を合理化し、かつ国民が根本的・計画的な節電により電力に過度に依存しない生活様式を確立すること。

6.以上により、数年ないし十年後に原発から再生可能エネルギー利用の日本に転換する。

 私たちは、今回の福島原発事故を教訓として、今こそ冷静に、原発のもつ本質的な問題と向き合い、放射能の危険のない日本を再構築して、次世代の子どもたちに残したいと思います。そのために、大きな国民世論を巻き起こし、原発から再生可能エネルギーに転換した新しい日本を創造していこうではありませんか




【アピール人】

 天野鎮雄(俳優) 青木みか(愛知女性9条の会代表) 浅井薫(詩人)

 稲垣喜代志(編集者) 大脇雅子(弁護士) 小野万里子(弁護士・セイブ

 イラクチルドレン名古屋代表) 加藤清之(陶芸家)  桑原恭子(作家)

 近藤真由美(YWCA総幹事)  斎藤孝(ピースあいち語り手の会代表)

 沢田昭二(名古屋大学名誉教授)  塩澤君夫(名古屋大学名誉教授)

 塩之谷香(医師)  篠田達明(医師、作家)  庄司達(造形作家)

 外山雄三(音楽家)  野間美喜子(弁護士・ピースあいち館長)

 松岡伶子(松岡伶子バレエ団代表) 水田洋(名古屋大学名誉教授)

 森釗(演劇プロデューサー) 森英樹(名古屋大学名誉教授)

 山田昌(俳優)  山下智恵子(作家) 渡辺みかこ(シャンソン歌手)

 渡部千枝(声楽家) 渡辺のり子(医師)